2014年11月14日金曜日

機械式駐車場とマンション管理組合との危険な関係


*この機械式駐車場が、途中で動かなくなり、すぐに修理がなされず、その間、子どもが転落し負傷を負ったといった事故があったときのマンション管理組合の責任はいかに、といったことを想像すると、リスク管理がまったくなされていないという状態に眩暈がします。管理組合会計から賠償負担としたとても、あるいは保険が利いたとても、適切な助言をしなかった管理会社の法的責任はいかに?!

 マンション管理組合が賃貸人となって、区分所有者に対して、駐車場を貸していることがよくあります。分譲マンション建設の際には、一定の台数の駐車場の確保が義務付けられていてることによります。
 この「駐車場」と管理組合との関係について、法律をよく知らない人などは、大きな勘違いをしていることが多いのではないかと思われます。

 つまり。
 「使わせてあげているのだから、その管理は借りて使っている人が自分でしなさいよ。」
 というものです。

 大きな間違いです。

 使っている人が、タダで、無償で借りて、マンションの敷地、特に、機械式などはその設備を使わせてもらっているのならば、その通りです。
 しかし、もちろん無償ではありません。

 借りている区分所有者は、一定額の、近隣の駐車場賃料に比例した金額を「賃料」として毎月、支払っています。
 誰に対して支払っているのか?
 もちろん、「マンション管理組合」に対してです。
 つまり、貸主であるマンション管理組合は、賃借人に対し、法律上、賃貸人としての責任が生じるのです。

 賃貸人としての責任とは何か?
 民法601条 賃貸物の使用及び収益を賃借人にさせること
 です。

 賃借人が賃借物の使用をできなくなったら、それは賃貸人の責任となり、債務不履行責任を問われます。賠償金請求をされます。

 マンション管理組合と駐車場、特に機械式駐車場でみた場合。
 
 最悪なのは、マンション管理組合において、毎月、相当額の機械式駐車場からの賃料収入がありながら、当該、収入において、機械式駐車場を使用させる債務を履行するための費用、つまり管理補修費用の積み立て等がなされていない場合です。
 青空駐車場であれば、それほど駐車場のための管理費は要しません。
 
 しかし。機械式駐車場は場合は?!
 機械ですので、それなりのメンテナンスが必要ですし、耐用年数があります。
 一般に言われていのは、耐用年数15年です。
 そして、パレットの取り替えとなると、一台あたり100万円ほどを要するとされています。
 
 このような機械式駐車場の賃貸で、年間数百万円の収入をあげながら、機械式駐車場のメンテナス、修理費、修繕の積み立てがまったくなされていないマンション管理組合が存在します。
 驚きました。

 マンション管理会社は、その委託業務に基づき、理事会、区分所有者らに対して、健全な財務状態を構築するための助言義務・情報提供義務が法律上、ありるといえます。
 機械式駐車場に関する修繕積立計画がなされていないという時点で、実損が生じた時点で、管理会社に対して、債務不履行責任を問えることがありるかと思います。
 
 賃料をもらって貸し出す以上、その管理、使用に支障をきたさないようにするということは、貸主、つまりマンション管理組合そのものの責任です。
 この「賃貸人としての法的責任」の自覚のなさが、財務の不健全さに気づかない一因ではないかと思います。

 マンションの総会の際、その1年の財務状況が報告されます。
 マンションの機械式駐車の賃料収入が、区分して会計処理されているのか、ありるいは一般会計とごちゃまぜにされながら、修繕積立金、計画すらまったくなされていないのか。
 そのあたりをしっかりチェックしてください。


 機械式駐車場の収入のほとんどが、管理会社への管理委託料の支払い等にまわされ、まったく積立ができていないマンションの場合、機械式マンションの故障が生じた時、予想外の賠償金の責任を賃借人に対し、賃貸人として負担することになるリスクが生じます。
 例えば。
 ある朝、駐車場の賃借人が、車を出そうとして、メンテナンス不良のために機械が故障して、車をだせなかったとき。その故障に対して、すぐに修理対応できなかったとき。そのために、なにか大きな商談がご破算となったというような、拡大損害が生じたというとき。
 マンション管理組合は、言い訳はできません。
 そのようなとき。管理会社に対する賠償を検討するしかないでしょう。
 
 マンション管理組合の機械式駐車場。一部では、
 「機械式駐車場は、時限爆弾」
 と言われる所以でしょう。
 メンテナンス不良のために、人身事故が生じた場合には、もう目も当てられません。

(おわり)

 保険をかければいいってもんでもないですよ。その保険料は誰が負担するの?
 まずは、まっとうに修繕積立金を賃料収入から行うべきでしょう!ねっ!
 9月アメリカで開催された、California Bar Associationの大会で、保険会社が配っていたというダック。神川弁護士所有。
 ヘルメット、つまり、予防が大事! 
 それは、ことがおこってから保険に入るというようことではなく、自らまずヘルヘットをかぶる、機械式駐車場で言えば、必要な修繕費用を積み立て、費用をかけてメンテナンスする、ということです。人身事故は最悪です。金を払えば済む問題じゃないので。




 

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